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依存症(アルコール・薬物・スマホゲーム など)

依存症とは

依存症とはアルコールや薬物の摂取などを繰り返し体験することで、精神的・肉体的に依存し、自らの意志ではそこから抜けられない(やめられない)状態を「依存症」と言います。
依存症は、アルコールや薬物以外にも、ゲーム、スマホ、ネット、ギャンブルなどで見られます。依存症では、ご自身のこころと身体の健康、社会生活、さらにはご家族へと影響がおよび、深刻な事態に陥るケースが少なくありません。一方で多くの場合、患者様ご本人もとても辛い想いをしており、治療ではまわりの人の理解・サポートも重要になります。
症状の程度にかかわらず、依存症にお困りの方は、どうぞ勇気を持って、当院にご相談ください。ご家族の方からのご相談も承ります。
必要に応じて病院とも連携し、患者様の健康と安心して過ごせる毎日が1日でも早く取り戻せるよう、当院が治療・サポートを行います。

依存症の種類

依存症は、物質に依存するタイプ、プロセスに依存するタイプ、人との関係に依存するタイプに大別されます。

物質依存

何らかの物質を体に取り入れることで快楽・刺激を受け、その物質に依存したり、執着するタイプです。
アルコール、薬物、タバコの依存などがこれに該当します。
薬物には、脱法ハーブや市販薬・処方薬なども含まれます。

プロセス依存

ある行為の過程(プロセス)で得られる快楽・刺激を求めて、その行為に依存したり、執着するタイプです。
ギャンブル、買い物、インターネット、ゲーム、性行為、浮気、盗癖などへの依存などがこれにあたります。

関係依存

ある特定の人物との人間関係に依存したり、執着するタイプです。
女性依存や男性依存がこれにあたります。またその依存によって、DVやストーカーへと発展することがあります。

相談の多い依存症

アルコール依存症

アルコール依存症長期にわたってアルコールを多量に飲み、アルコールなしではいられなくなった状態です。
気分を晴らすためにさらにアルコールを求めることで、依存性が増していきます。

症状

  • お酒を飲んでいないと常にイライラする、不安・焦燥感がある
  • 寝酒をしないと眠れない
  • 吐き気、嘔吐
  • 動悸、息切れ
  • 集中力や注意力の低下
  • 血圧上昇
  • 虫が身体を這う等の幻覚
  • 脳萎縮に伴う認知機能の低下
  • 真冬に外で倒れたり、合併症を起こしたりすれば、死に至ることも

出社前にお酒を飲んでしまう、あるいは仕事中にお酒を飲んでしまうといったこともあります。仕事を失い収入がなくなれば、別居や離婚といった問題が起こる可能性も高くなります。依存症が「自力で乗り越えるのが難しい病気」ということの理解は進んでいますが、それでも同じ失敗を繰り返していると、まわりから人がいなくなってしまいます。そのことで自暴自棄になり、さらにお酒に走るというケースも少なくありません。
またもちろん、ご自身の健康への影響も懸念されます。多量飲酒を続けていると耐性が尽き、飲む量が増えることで身体の負担が大きくなっていきます。

薬物依存

薬物依存シンナー、大麻、覚醒剤、コカインなどの違法薬物、脱法ハーブ、市販薬・処方薬の乱用によって、やめようと思っても繰り返し手を出してしまう依存症です。
薬物の作用によって脳の神経系で異常が起こり、ドパミンという神経伝達物質が多量に分泌されます。この時に覚えた快楽や多幸感、全能感は脳に記憶され、作用が薄れると再び薬物を求めてしまいます。

症状

  • イライラする
  • 落ち着きがない
  • 休息、睡眠をとらずに活動し続ける
  • 暴言、暴力
  • 意識の喪失
  • オーバードーズにより、死に至ることも

アルコール依存症と同様、仕事を失ったり、家庭が壊れたり、経済的な困窮に陥ったり、健康を害したりといった問題が起こる可能性が高く、その影響は計り知れません。また使用する薬物によっては、逮捕されます。薬物を手に入れるにあたり危険な人物と知り合い、お金を手に入れるためにまったく別の犯罪に手を染めてしまうこともあります。

ゲーム障害

ゲーム障害テレビゲーム、ネットゲームなどに依存した状態です。「ゲームばかりしていないで…」と家族に指摘された経験は多くの方がお持ちですが、ゲーム障害ではそのような指摘を受けても、自分でも良くないと分かっていても、ゲームをしてしまいます。昼夜問わずゲームをしたり、仕事・家事、食事や入浴など本来であれば“先にやるべきこと”がありながらゲームをやめられず、日常生活に支障をきたします。

症状

  • ゲームをする時間が自分でコントロールできない
  • ゲームが最優先となり、仕事・家事・学業などができない
  • 食事や入浴などを後回しにする、ゲームのためにできないことがある
  • 睡眠障害
  • 眼精疲労
  • (ゲームができない時などの)暴言、暴力

アルコールや薬物ほどではないにせよ、健康への影響も懸念されます。
発達障害、睡眠障害、社会不安障害など、他の疾患を合併しているケースも少なくありません。

スマホ依存

スマホ依存スマホ依存症とは、スマホを文字通り手放すことができず、常に操作・閲覧・動画視聴・音楽鑑賞などをしている状態を指します。近年では、リアルタイムで次々に更新されるSNSの閲覧、あるいは自分の投稿に対する反応の監視、発信者同士の競争意識などが、スマホ依存に拍車をかけています。
また、スマホは場所をとらないことから、自宅のお風呂場やトイレ、外出先の飲食店、歩行中、運転中など、一般的に好ましくない・マナー違反と捉えられる・法令違反となる場所や状況でも、スマホを使ってしまう人が増えています。

症状

  • 電波状況、映画館などでスマホを使えないと不安になる、イライラする
  • 使用が禁止されている場所、状況でもSNS等をチェックしてしまう
  • 仕事、学校などで使えない時間を除き、ほとんどの時間でスマホを使用している
  • 食事、睡眠などの時間を削ってスマホを使ってしまう

正式な疾患名ではありませんが、睡眠不足によって仕事や学業にも影響が出ます。課金がやめられず、経済的な負担が増えている人も少なくありません。
また、うつ病、睡眠不足、腱鞘炎、視力低下といった健康への影響も懸念されます。

ネット依存

ネット依存ネット依存とは、パソコン、タブレット、スマホなどのインターネットを使うデバイスの使用に依存してしまう状態を指します。
スマホ依存も、ネット依存の1つです。

症状

  • インターネットが使えないと不安になる、イライラする
  • オンラインゲームなどで常に人とつながっていないと不安になる
  • 食事、睡眠などの時間を削ってインターネットに没頭してしまう
  • 現実世界で人と仲良くなる、関係を築くことをわずらわしいと感じる

スマホ依存と同様、仕事・学業・健康への影響が懸念されます。

ギャンブル依存症

ギャンブル依存症競馬、競艇、オートレース、パチンコ、場合によっては宝くじなど、いわゆる賭け事に対する依存症です。これらは本来、遊びや趣味の範囲で行うものですが、生活費など使ってはいけないお金を使う・借金をしてまでギャンブルをするといった場合には、依存症が疑われます。

症状

  • ギャンブルをしたい気持ちが抑えられない
  • 生活費をギャンブルにつぎ込む、借金をしてつぎ込む
  • ギャンブルをするために、仕事や学校を休んでしまう

ギャンブルの失敗は、経済的な困窮に直結します。借金を重ねて破産をする人、社会的信用を失う人も少なくありません。
またギャンブル依存症は、アルコール・薬物依存症、うつ病と合併することの多い病気です。

依存症になりやすい人の特徴・サイン

自己評価が低い、見捨てられ不安が強い、孤独な人が薬物に依存しやすいです。日頃から運動や勉強、仕事といった領域で、周囲からの評価や承認をされ、それによって快感中枢の興奮を経験してきた人は依存症にはなりにくいです。

依存症の治し方

依存症の治し方依存症の治療にあたり、「そんなことをしてはいけません」「またやったんですか」といったように、患者様を責めることはありません。お話しの中で辛い思い出が蘇ったり、後悔をしたりといったことはあるかもしれませんが、そのような気持ちを抱くことも治療の過程であることをご理解ください。
寄り添い、耳を傾け、患者様の回復をサポートいたします。

アルコール依存症の治療

お酒を飲む・多量に飲むようになったきっかけ、どんな時に飲みたくなるのか、ご自身にとってどのような役割があるのか、お酒を飲んで良かったこと・悪かったことなどを、会話を通して振り返っていきます。
その上で、必要に応じた薬物療法を導入します。お身体の状態、依存症の症状に応じて、離脱症状を抑える向精神薬、アルコールの分解を抑える抗酒剤、断酒補助剤、肝機能改善薬・ビタミン剤などを処方します。

薬物依存の治療

薬物使用をやめて、薬物が体内から排出し切ってからも、薬物を求める気持ちが消えることはありません。
薬物をやめることは大切なのですが、やめようと強く考え過ぎると、逆に渇望してしまいます。薬物を求める気持ちをご自身でも認め、話し、その上で自分をコントロールする術を身につけることで、「やめ続ける」ことが可能になります。
必要に応じて、薬物依存回復プログラム、自助グループなどをご紹介します。

ゲーム障害の治療

ゲームに依存するきっかけ、過去・現在のゲームとの付き合い方、ご自身にとってのゲームの役割、ゲームの良い点・悪い点、ゲーム以外の興味・関心などをお話しいただき、その上で対策を考えていきます。
基本的に、ゲームを完全にやめる必要はありません。治療の中で、ご自身をコントロールする術を身につけ、徐々に時間を減らしていきます。遊びや趣味と言える時間の使い方・付き合い方ができることを最終的な目標とします。もちろん、やめても構いません。

スマホ依存・ネット依存の
治療

スマホ依存、ネット依存の治療では、ゲーム障害の治療と共通する部分が多くなります。使用や依存のきっかけ、付き合い方、スマホ・ネットの役割、良い点・悪い点などをお話しいただき、その上で対策を考えます。
スマホもネットも、今や私たちの生活に欠かせないものであり、その適切な使用は人生を明るくしたり、豊かにしたりします。こころや身体に悪影響を及ぼさないような、正しい距離感を取り戻すことを目標とします。
うつ病などの疾患を合併している場合には、その疾患に応じた薬物療法、心理療法なども行います。
その他、自助グループなどをご紹介することも可能です。

ギャンブル依存症の治療

ギャンブルを始めた・のめり込んだきっかけ、ご自身にとっての役割、良い点・悪い点などについてお話しいただき、その上で、ギャンブルがしたくなった時の対処法を一緒に考えていきます。
ギャンブル依存症は、適切な治療・支援によって、十分に回復が可能な病気です。お薬はありませんが、ギャンブルを必要としない・依存しない生き方を見つけていきましょう。
当事者同士でつながりが持てる、自助グループをご紹介することも可能です。