自律神経失調症とは
おおぜいの人の前で喋ると汗をかく・のどが渇くといった経験は、多くの方がお持ちです。これらは、緊張によって起こる正常な身体の反応です。緊張が解ければ汗は引き、のどの渇きもずっと続くわけではありません。
しかし、特に思い当たる原因がないのに、自律神経にかかわる身体的・精神的な症状が続いている、繰り返されるという場合には、自律神経失調症という病気を疑う必要があります。
気になる症状に気づいた時には、お早目に当院にご相談ください。
自律神経失調症の主な原因
自律神経とは、呼吸、体温・発汗、血圧、心拍、消化、代謝、排泄といった、自分の意志と関係なく常に働いている機能を司る神経です。
自律神経失調症では、この自律神経のバランスが崩れることで発症します。その原因としては、以下のようなものが挙げられます。

- 昼夜逆転生活、夜更かし、不規則な生活といった、生活リズムの乱れ
- 職場・家庭・学校・恋愛などにおける人間関係の悩み、ストレス
- 転職、転勤、転校、引っ越しといった環境の変化
- 女性ホルモンのバランスの乱れ
自律神経失調症の主な症状
身体的な症状
- 疲れやすい、疲れが取れない
- 倦怠感
- めまい、耳鳴り
- 吐き気、嘔吐
- 下痢、便秘
- 頭痛
- 微熱
- 動悸、息切れ
- 手足のしびれ
- のどが渇く
- 頻尿、残尿感 など
精神的な症状
- イライラ
- 焦り、焦燥感
- 不安
- 孤独感、疎外感
- 気分の落ち込み
- 意欲・関心の低下
- 憂うつ
- 感情の起伏が激しい
- 感情のコントロールが難しい
自律神経失調症になりやすい人
原因や機序から考えると、以下のような方は、そうでない方と比べて自律神経失調症になりやすいと言えます。

- もともと自律神経が過敏な方(緊張するとすぐに吐く・下痢をする等)
- 特定の性格を有している方(真面目・断れない・人を頼れない等)
- 職場・家庭・学校・恋愛などで大きなストレスを感じている方
- 不規則な生活をしている方、寝不足の方
- 転職、転勤、転校、引っ越しといった環境の変化に直面している方
- 冷え性、低血圧、虚弱体質などで体調に不安があり、そのことをストレスに感じている方
自律神経失調症の治し方
薬物療法
身体的・精神的な症状を和らげるためのお薬を使用します。抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、漢方などを処方します。
加えて、自律神経に直接作用する自律神経調整薬や漢方薬、ホルモンバランスを整えるためのホルモン剤、ビタミン剤などを必要に応じて処方します。
ストレスの対処法を覚える
私たち日本人は、「ストレスとは乗り越えるもの・立ち向かうもの」と考えがちです。回避しても、実はまったく問題がないというストレスは少なくありません。
ストレスの原因となるものはできるだけ生活から取り除くこと、そして抱えているストレスをうまく解消する術を考える・実行することが大切です。
生活習慣の改善
昼夜逆転生活や夜更かし、不規則な生活といった生活習慣の乱れがある場合には、その改善に取り組みます。生活習慣を改善することで、自律神経のバランスも整いやすくなります。ホルモンバランスを乱さないという意味でも大切なことです。
精神療法
精神療法の中でも、認知行動療法が有効になることが多くなります。
症状、症状が現れる時の状況などを振り返り、そこに因果関係がないという認知を共有することで、同じような状況に直面した時に症状が現れにくくなることが期待できます。