- 双極性障害(躁うつ病)とは
- 双極性障害(躁うつ病)の主な原因
- 双極性障害(躁うつ病)の主な症状
- 双極性障害(躁うつ病)のセルフチェック
- 双極性障害(躁うつ病)の方の特徴的な
話し方 - 双極性障害(うつ病)の診断
- 双極性障害(躁うつ病)は治る?治し方
双極性障害(躁うつ病)とは
双極性障害(躁うつ病)は「うつ状態」と「躁状態」を繰り返す病気です。
躁状態の現れ方によって、双極1型障害と、双極2型障害に分けられます。
双極性障害(躁うつ病)の
1型と2型の違い
双極1型障害
躁状態が非常に強く現れます。
職場や学校・家庭などにおいて大変な問題を起こすことがあり、多くは入院が必要になります。
双極2型障害
躁状態の現れ方が、比較的軽い(軽躁状態)タイプです。
職場・学校・家庭などでの問題はあまり表面化しません。「最近、ずいぶん元気だな」とむしろ好意的に受け取られることもあります。このことが、受診の遅れの原因の1つになっています。
双極性障害(躁うつ病)の
主な原因
双極性障害の明確な原因は、分かっていません。
現在のところ、遺伝、周産期(妊娠22週~出生後7日未満)の胎児の異常、妊娠中のインフルエンザ感染、母親の喫煙などの影響が指摘されています。
うつ病の最大の原因であるストレスの影響は、限定的なものと考えられます。
双極性障害(躁うつ病)の
あるある
明確な因果関係が証明されているわけではありませんが、双極性障害の方に見られる特徴として、以下のようなものが挙げられます。
- 社交的、善良、親切、情が深い、ユニーク、活発/物静か、せっかちな性格
- 最近、退職・転職・昇進(責任が重くなる、プレッシャーが高くなる)を経験した
- 最近、大切な人が重大な病気になった、亡くなった
- 自分が思わぬ病気になった
- 男女トラブルの問題を抱えている
双極性障害(躁うつ病)の
主な症状
双極性障害は、うつ状態、躁状態を繰り返す病気です。
うつ状態、躁状態がどれくらい続くかは、症例によって異なりますが、うつ状態が2週間以上、軽躁が数日間・躁状態が1週間以上というのが目安です。
うつ状態
こころの症状
- 気分の落ち込み、憂うつ
- 意欲、関心の低下
- 集中力、注意力の低下
- わけもなく不安になる
- 人生に絶望する、自殺企図
- 強い自責の念
- 根拠なく、自身ががんなど重大な病気だと思い込む
- 症状は朝に強く現れるが、夕方以降は多少楽になる など
身体の症状
- 倦怠感、疲労感
- 不眠/過眠
- 過食/小食
- 吐き気、嘔吐
- 頭痛
- 腹痛、下痢、便秘
- 発汗
- 痛み、しびれ
- 妄想 など
躁状態
中核症状
- 気分の高揚、すがすがしい
- 休むことなく活発に動き続ける、働き続ける
- 心身の疲労を感じない
- 絶え間なく喋る
- 些細なできごとに過敏に反応する
- 怒りっぽくなる
- 人間関係でトラブルを起こす など
周辺症状
- 必要のないものを買ってしまう
- 買い物、ギャンブルに大金をつぎ込む
- 人の話を聞けない、人の話を遮る
- 1つのことに集中できない、気が散る
- 根拠のない自信を持つ
- なんでもできる・思い通りになるという全能感
- 性欲亢進、簡単に性的関係を結んでしまう
- 知らない人に話しかける
- 頻尿、残尿感
- 病気であることを自認できない など
双極性障害(躁うつ病)の
セルフチェック
以下のうち、3つ以上に該当する場合、双極性障害の可能性が高くなります。3つ未満でも、気になることがあればお気軽にご相談ください。
- 何か特別に良いことがあったわけでもないのに、著しい気分の高揚がある日が4日以上続く
- 目標に向かって活発に動く・働くが、怒りっぽくなりまわりと衝突する
- 徹夜、またはほとんど寝なかったのに、翌日も元気に活動できる
- 誰かと喋りたい気持ちが強くなり、用事が無くても知り合い・他人に話しかけ、喋り続ける
- 仕事などで新しいアイデアが次々と浮かんできて、何もかもうまくいくという気持ちになる
- 活発に動く一方、1つのことに集中ができず仕事などが中途半端になってしまう
- 必要のない買い物・ギャンブルに大金を注いでしまう
- 「やりたい」と思えばすぐに行動する、その衝動を抑えられない
双極性障害(躁うつ病)の方の特徴的な話し方
双極性障害では、うつ状態の時と、躁状態の時で話し方に特徴があります。
うつ状態の時の話し方
関心、思考力が低下していることから、以下のような特徴が見られることがあります。
- 話しかけられても返事をしない
- 質問に対して適切な回答をすることが難しい
- 話し方がゆっくり
- 簡単な質問でも、返答が遅い
- 長い時間喋ることが難しい
- 後ろ向きな発言が多い
- 消えてしまいたい、死にたいと口にする(重症例)
躁状態の時の話し方
気分が高揚していることなどから、以下のような特徴が見られることがあります。
- 友人・他人に話しかけずにはいられない
- 異様にハイテンション
- 早口、大声
- 喋り続けるといった
- 話題が次々に変わる
- 人のちょっとした言葉にいらだってしまう
- 笑っていたかと思えば、突然起こりだす
- 駄洒落などの冗談の多様
- 会話が支離滅裂(重症例)
双極性障害(うつ病)の診断
症状や経過、身体疾患、服用中のお薬などについて確認し、総合的に診断します。身体疾患が疑われる場合には、血液検査、脳の画像検査なども必要になります。
特に双極2型障害は、うつ病との鑑別が容易ではありません。使用するお薬も変わってきますので、慎重に診断します。
双極性障害(躁うつ病)は
治る?治し方
双極性障害は、治療を継続することで、症状が改善し、寛解に至る可能性が十分にあります。ただ、再発しやすいのは事実です。「絶対に治す・1年以内に治す」といったような気負い過ぎは避け、地道に治療に取り組み、寛解の期間を延ばすことを目標としましょう。
双極性障害の治療では、薬物療法、精神療法を行います。
薬物療法
脳の機能異常を改善する薬、気分安定剤、抗精神病薬などを使用することで、気分の波を落ち着けます。
抗うつ剤については、症状の波が大きくなる等のリスクがあるため、基本的に使用しません。うつ状態が重く改善が難しい場合などに、限定して使用します。
精神療法
医師とこれまでの人生を振り返り、理解・受容を試みる精神療法を行います。理解・受容することで、対処法が見えてくることが期待できます。
寛解、再発防止のために欠かせない治療です。