妄想性障害
(妄想性パーソナルティ障害)
とは
精神医学における「妄想」は、一般的な意味とは異なり、「事実でないと確信しながら、訂正できない状態」を指します。
妄想性障害は、この精神医学的な妄想が、長く続く障害です。統合失調症のように幻覚が現れることは少なく、現れた場合にも妄想に関連する程度に留まり、突拍子のない幻覚はありません。加えて、感情の乏しさ、意欲の大幅な減退もありません。
このように、妄想性障害は、妄想症状を主体とする障害であるという点が特徴的です。特に、仕事、家庭における協調性を求められる場で支障が出ます。
妄想性障害
(妄想性パーソナリティ障害)
の主な原因
妄想性障害の原因については、はっきりしたことは分かっていません。
現在のところ、遺伝的・環境的要因が、発症に一定程度、影響しているものと考えられています。
妄想性障害
(妄想性パーソナリティ障害)
の主な種類と症状
妄想性障害は、以下のように細かな分類が可能であり、そのタイプによって症状が異なります。
被愛型
誰かが自分に好意を寄せていると思い込みます。ここでの「誰か」には、芸能人など、接したことのない人も含まれます。
電話・メール・手紙などで接触を試みたり、ストーカー行為に及んでしまうこともあります。
誇大型
自分が非常に優れた人物である、飛びぬけた才能がある、重大な発見をした等の誇大な思い込みをするタイプです。
嫉妬型
恋人・配偶者が浮気をしていると思い込むタイプです。あいまいな証拠、あるいはまったく根拠なく浮気を疑います。暴言や暴力につながることもあります。
被害型
自分が嫌がらせを受けている・見張られている・中傷されている等の思い込みが見られるタイプです。些細なことで暴言・暴力をふるう、警察に通報する、訴訟を起こすといったケースも見られます。
身体型
自分の顔がとても醜い、身体が変形している、体臭がひどい等の思い込みをするタイプです。
妄想性障害
(妄想性パーソナリティ障害)
の治し方
妄想性障害の治療の基本となるのは、医師との良好な関係の構築です。これは、妄想性障害の症状である妄想が、しばしば治療の拒否につながるためです。
根気よく診察を継続し、医師との良好な関係を築いた上で、誤った認知を矯正する認知行動療法などを試みます。その他、症状を軽減する目的で、抗精神病薬を使用することもあります。
いずれにせよ、長期的な治療が必要です。場合によっては、入院治療をおすすめすることがあります。