- 発達障害とは
- 大人の発達障害の特徴
- 代表的な発達障害
- 大人の発達障害「セルフチェックリスト」
- 発達障害のある方の向いている仕事・
おすすめしない仕事(※個人差あり) - 大人の発達障害の治療について
- 大人の発達障害に悩んでいる方へ
- 費用の目安
発達障害とは
発達障害とは、脳の特性を原因として起こる「仕事でケアレスミスを繰り返す」「気をつけているのによく遅刻する」「人間関係がうまくいかない」といった悩み・生きづらさといった問題えるために、人間関係を中心とした社会生活に支障をきたしている状態です。
自分では「なぜできないんだろう?」と原因が分からないまま悩み続け、まわりからは「努力が足りない」「なまけている・やる気がない」と捉えられがちな症状が見られます。
努力しているのに良好な人間関係が築けない・社会生活がうまくいかない、問題を改善・解決する方法がなく困っているという方は、お気軽に当院にご相談ください。
大人の発達障害の特徴
発達障害は、脳の特性を原因とする先天的な障害です。しかし、子どもの頃に発見できるとは限らず、大人になって初めて発達障害に気づく・見つかるケースも多くなります。これは発達障害が、学校から社会に出て、より厳しい規範が求められることで、表面化しやすい障害であるためです。
どのような特性が、どの程度現れるかは、人によって異なります。1つの特性が顕著に現れることもあれば、複数の特性が重なって複雑化することもあるのです。また発達障害によって生じる問題は、個人の努力のみで解決することはほとんど不可能です。これにも、脳の特性によって起こる障害であることが大きく影響しています。
発達障害は大きく、自閉症スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、限局性学習障害に分けられます。
代表的な発達障害
自閉スペクトラム症(ASD)
「人との交流・社会的交流の困難」「こだわりの強さ」を主な特性とします。
それぞれ、具体的なケースをご紹介します。
人との交流や社会的交流の困難
- 目が合わない、逸らす
- 表情が硬い
- その場面、状況に合わない言動をする(「空気を読めない」と言われる)
- 相手に配慮せず、自分が興味のあることばかり喋ってしまう
- 曖昧な問いかけ、指示の理解が難しい(「最近どう?」「あれやっといて」など)
こだわりの強さ
- 特定のことについて強い興味を見せる
- 集中している時にはまわりが見えなくなる
- 自分の予定通りに物事を進めたがる、その通りにいかない場合にパニックになる
- 話し合いの中でも自分の考えに固執し、妥協ができない
- 細かいことにこだわりすぎ、全体的な把握や管理が難しい
注意欠陥多動性障害(ADHD)
「不注意」「多動性」「衝動性」を主な特性とします。
それぞれ、具体的なケースをご紹介します。
なお多動性・衝動性は、大人になる頃には改善しているケースが多くなります。一方で不注意については、大人になってからも残りやすいと言われています。
不注意
- すぐに集中力が途切れてしまう、気が散ってしまう
- まわりから「注意していたら防げるはずだ」と見られるミス(ケアレスミス)が多い
- 自分の部屋、デスクなどの整理整頓ができない
- 遅刻、忘れ物、紛失が多い
多動性
- 落ち着いてじっとしていることが難しい
- 喋り出すと止まらない
- 会議中、仕事中などにきょろきょろしてしまう
- 話があちこちに飛ぶ
衝動性
- 人の話を最後まで聞かない
- 場面、状況を選ばずに思ったことを言ってしまう、行動してしまう
- カッとなった時に相手を罵倒してしまう
- 順番待ちなどが難しい
大人の発達障害
「セルフチェックリスト」
以下に当てはまる方は、一度、受診をおすすめします。
自閉スペクトラム症の
セルフチェック
現在と16歳以前について、両方に当てはまる場合にチェックします。チェックが多いほど、自閉スペクトラム症の可能性が強まります。
- 人と話している時、その人が感じていることを理解するのが難しいと感じる
- 複数人や集団で活動をしたり、仕事をすることを非常に難しく感じる
- まわりの人が自分に対して望んでいること、期待していることを理解することが難しい
- 人と交流する場面で、どのように振舞えばいいのか分からないことがよくある
- 何気ない会話、雑談をすることに難しさを感じる、何を話したらいいのか分からない
- 自分の感覚に圧倒された時、落ち着くためには一人になる必要がある
- 友達のつくり方・人との接し方がよく分からない、いつもうまくいかない
- 人と話している時、自分が話すべきタイミングが掴めない
- 不快な音・まわりの声などを遮るため、両耳をふさぐことがときどきある
- 人と話している時、相手の表情を読む・仕草の意味を理解することがとても難しい
- 物、物事、人を見る時は全体像より細部に注目する、気になる
- 曖昧な問いかけや指示を言葉通りに受け止めてしまい、相手が期待する答えを言ったり行動をしたりといったことが難しい
- 物事の手順、ルールが自分の思い通りにいかない場合、非常に動揺する
- 他の人が気にしないような感触のものが肌に触れた時、とても不快に感じることがある
注意欠陥多動性障害の
セルフチェック
過去6ヶ月のあいだで、ご自身の感じ方・行動において、以下の項目に当てはまる場合には、一度当院にご相談ください。
- 仕事など課題に取り組む時、山を越えたのに詰めが甘く、失敗してしまうことがときどきある
- 計画性が求められる課題に取り組む時、その計画を立てたり、計画通りに実行することが難しい
- 大切な約束、用事を忘れてしまうことがときどきある
- じっくりと考える必要がある課題が苦手で、しばしば避ける・先延ばしにする
- 長時間座っている会議、映画館などで、手足をそわそわさせる・もぞもぞする・きょろきょろするといったことがよくある
- 何かに急き立てられたように、必要以上に活動的になることがよくある
発達障害のある方の向いている仕事・おすすめしない仕事
(※個人差あり)
発達障害の方は、そうでない方と比べると、社会生活における支障・生きづらさを感じる場面が多くなります。
そのため、快適に長期間継続することが難しい仕事の数も多くなります。一方で、その特性を活かしやすい、向いている仕事というものもあります。
特性の種類・程度には個人差がありますが、発達障害の方に一般的に向いている仕事、おすすめしない仕事の例をご紹介します。
一般雇用・障害者雇用について
発達障害と診断された方は、一般雇用として就職するか、障害者雇用として就職するかが選びます。
障害者雇用で就職する場合には、精神障害者保健福祉手帳が必要ですが、その特性に応じたサポートが受けやすくなります。
一般雇用の場合には、就職先の選択肢が多くなるというメリットがあります。ただ、上司と相談するなどして理解・協力を求めることはできますが、やはり障害者雇用された場合と比べると、そのサポートが不十分だと感じる可能性が高くなります。
同じ仕事でも、職場環境・まわりの理解やサポート体制によって、「働きやすさ」には大きな差が出ます。医師や行政担当者とよく相談し、慎重に就職先、および一般雇用/障害者雇用のどちらにするかを選ぶことが大切です。
自閉スペクトラム症の方の
場合
向いている仕事
一般的に、一人で取り組める仕事、論理的な思考が求められる仕事、正確性や集中力が求められる仕事などが適しています。
- 仕分け作業、設備点検、部品等の整理・管理といった軽作業
- 製造、検品などのライン作業
- システムエンジニア、プログラマー、アプリ開発といったIT系業務
- データ入力、ライター、校正者、翻訳家
- 経理・財務・法務担当、研究者
- 司書、駅員
- 伝統工芸 など
おすすめしない仕事
一方で、人とのコミュニケーションが求められる仕事、臨機応変な対応が求められる仕事については、活躍や継続が難しくなる傾向があります。
- 「見て学ぶ姿勢」「阿吽の呼吸」が求められる職人、農業
- マニュアルのない仕事
- レジ打ち
- 接客業
- 旅行業
- オペレーター
- 営業職
- 企画、管理、調整など広い視野が求められる仕事 など
注意欠陥多動性障害の方の
場合
向いている仕事
一般的に、興味のある分野であり、発想力や想像力、活発なコミュニケーション、行動力・決断力が求められる仕事が適しています。
- 営業職、販売職
- 記者・編集者
- ディレクター、エンジニア、プログラマー
- 商品やイベントの企画
- デザイナー、イラストレーター
- 研究、開発
- 塾講師
- 整備工
- 清掃業
- 介護職 など
おすすめしない仕事
一方で、マルチタスクが求められる仕事、完璧なミスのない作業が求められる仕事では、活躍・継続が難しくなる傾向があります。
- バタバタと忙しい店(飲食業、接客業など)
- 銀行などの金融関係
- サービス業
- 旅行関係
- 人事、総務 など
大人の発達障害の治療について
問診では、現在の症状・お困りごと、幼少期・学童期のご様子などについて詳しくお伺いします。
これらの情報を、現在のご家族、ご両親・ごきょうだいから予め集めていただければ、より正確な診断につながります。ご家族にご同席いただいても構いません。その他、必要に応じて各種検査(血液検査・心理検査・性格検査など)も行います。
その上で、主に以下のような治療を行います。
薬物療法
注意欠陥多動性障害(ADHD)、一部の自閉スペクトラム症に対しては、保険が適用されるお薬が有効になることがあります。
西洋薬に抵抗がある、副作用が心配という場合には、副作用の少ない漢方薬を処方することも可能です。
生活・仕事における指導・
アドバイス
発達障害の種類、特性の傾向・程度に応じて、生活・仕事における指導やアドバイスを行います。
どのように生活・仕事をすることで生きづらさやお悩みを和らげることができるかを、患者様お一人おひとりに合った形で指導・アドバイスをします。
心理療法(カウンセリング)
必要・ご希望に応じて、臨床心理士による心理療法(カウンセリング)をご案内します(自費)。
大人の発達障害に
悩んでいる方へ
大人の発達障害は、しばしば職場で、場合によってはご家庭内で、「努力が足りない」「なまけている・やる気がない」と捉えられ、お一人でお悩みになっている方が少なくありません。
また、近年は発達障害への理解が少しずつ進んでいますが、ご自身で発達障害を疑いながら、「発達障害だと診断されたくない」「努力で乗り越えたい」と受診できていない方もいらっしゃいます。
しかし発達障害は、適切な治療や支援なしに、ご自身の努力のみで乗り越えることが非常に難しいという側面を持ちます。逆を言えば、適切な治療・支援によって、他の人と変わらない快適さで日々の生活を送ること・仕事をすることも十分に可能なのです。
お悩みに寄り添いながら、患者様お一人おひとりにご納得いただける形で治療を提供し、支援を受けるためのアドバイスを行って参りますので、まずはお気軽に当院にご相談ください。
費用の目安
治療は原則、保険が適用されます。
臨床心理士によるカウンセリング、および専門的な心理検査については自費となります。自費診療になる治療については、自費になること、その費用の詳細を事前にお伝えします。
初診・再診費用の目安
費用 | |
初診 | 2,500円~3,500円程度 (3割負担) ※検査なしの 初診費用の目安です。 |
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再診 | 1,500円~2,500円程度 (3割負担) ※検査なしの 再診費用の目安です。 |
カウンセリング費用(自費診療)
当院では、公認心理師(国家資格)によるカウンセリングを実施しております。
お悩みやストレス、対人関係、職場や家庭の問題などについて、専門的な立場からお話をうかがい、サポートいたします。
費用 | |
初回 | 10,000円 |
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30分 | 5,000円 |
60分 | 8,000円 |
延長料金(10分ごと) | 1,500円 |
※初回カウンセリングは60分で 6,000〜9,000円程度となることが多いです。
保険適用について
公認心理師によるカウンセリングは、基本的には保険適用外となりますが、医師の診断・指示のもとに行われる「心理療法」に該当する場合は、保険適用となるケースもあります。
ご予約・注意事項
- 完全予約制となっております。
- ご希望の方は診察時に医師または受付にご相談ください。
- キャンセルの際は、前日までにご連絡をお願いいたします。
心理検査費用
当院では、医師の指示のもと、公認心理師による心理検査を実施しております。
検査内容に応じて保険適用となり、以下のような自己負担額となります(3割負担の場合)。
費用 | |
WAIS(知能検査) | 3,000円 |
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ロールシャッハテスト | 2,400円 |
SCT(文章完成テスト)など | 2,000円 |