- 不安で学校や仕事に行きたくない、
家から出たくない(ひきこもり)の方へ - 学校・仕事に行きたくないとなる良くある
ケース(特に朝) - 家から出たくない(ひきこもり)になる特徴
- 考えられる疾患
- 対処法
- ご家族の方へ
不安で学校や仕事に行きたく
ない、家から出たくない
(ひきこもり)の方へ
強い不安、憂うつなどによって仕事・学校に行きたくない、現在すでに家から出ることが難しくなっているという場合には、うつ病や適応障害などの病気が疑われます。
ご家族を含め、まわりからは「やる気がないだけだ」「甘えているだけだ」と思われがちですが、病気が原因であるケースでは、自分の努力や意志だけではどうすることもできません。
気になる症状を自覚されている場合、あるいは周囲から指摘された場合には、お早目に当院にご相談ください。
なお当院では、大学生以上の方を対象に診療を行っております。
学校・仕事に行きたくないと
なる良くあるケース(特に朝)
学校

- 夜更かし、夜遊び、バイトなどの睡眠不足によって時間に間に合うように起きられない
- 友達や教員との関係が良くなく、学校に行きたくない
- 勉強についていけず授業がつまらない、劣等感がある
- 楽しそうに学校生活を送るまわりの学生の姿を見たくない、気後れする
- クラス、ゼミ、部活、サークルで人間関係がうまくいっていない
- 休み時間やお昼休みの過ごし方が分からない、居場所がない
- 希望した大学に入れず、学業に身が入らない
- 想像していた大学生活のギャップが激しく、登校できない
- 留年が決定するなどして、学業にやる気が湧いてこない
- 大学院への進学、就職などに関する悩みがある
- 家庭の経済的な問題で、大学を続けられるか不安
- 将来の見通しが立たず、人生が嫌になってしまった
- 一人暮らしを始めて親に起こしてもらえず、ベッドから出られない
仕事

- 上司や先輩からの叱責がこわい、職場の雰囲気が悪い
- 同僚との人間関係がうまくいっていない
- 第一志望の会社に入れず、やりがいが感じられない
- 現実が想像と違い、将来の見通しが立たない
- 頑張っているのに、正当に評価してもらえない
- 信頼していた上司、先輩、同僚がやめてしまった
- 業務量が多すぎる、自分に押し付けられる
- 休み明け、気持ちが切り替えられない
- 通勤時間が長い、満員電車が辛い
- 何のために仕事をしているのか分からない
- 異動や転勤、転職などに伴う環境の変化がストレスになっている
- 事前に聞いていた待遇と違い、不信感が募っている
家から出たくない
(ひきこもり)になる特徴
出社や登校、そして外出すら難しくなり、家から出たくないという状態に陥る人には、以下のような特徴が見られます。
真面目・努力家・完璧主義
真面目な人、努力家の人は、その頑張りや成果が正当に評価されなかった時に、特に落ち込みがちです。「もっと頑張らなくちゃ」とさらに頑張り、ストレスが限界を迎えてしまうというケースもあります。
また完璧主義な人は、仕事や勉強が少しうまくいかなかった時に、必要以上に落ち込んでしまったり、自責の念に駆られたりして、引きこもりになってしまうということがあります。
自己肯定感が低い
自分が必要とされている・愛されているという意識が低く、自分に価値がないように思い込んでいる人です。実際は自分で考えているよりも評価されているのに、小さな失敗をした時などに「やっぱり駄目だ」「何をやっても無駄だ」と考え、引きこもりのきっかけになってしまうことがあります。
感情を表に出さない
喜んだり、悲しんだり、怒ったりといった感情を表に出さない人は、気持ちがまわりに伝わりづらく、誤解されることが多くなります。そのことで敬遠されたり、いじめられたりしてしまうこともあります。一方で内面ではさまざまなことを考えているため、「どうして分かってくれないんだろう」という不満も溜まりがちです。
人の目・評価を過度に
気にする
人の目や評価を気にしない人はいませんが、それが過度になると、ストレスが溜まり、引きこもりなどの原因になります。常にまわりを気にするため気疲れをしますし、誰も気にしないような失敗をいつまでも悔やんでしまいます。また、「自分はこんなに頑張っているのに、なぜ評価されないんだろう」という不満を抱えるというケースも少なくありません。
不満・ストレスを溜めがち
理不尽な目に遭った時など、その間違いを訴えることで、問題が解決する、すっきりするということがあります。そういったことが言えない人は、もやもやとしたまま毎日を過ごすことになり、仕事・勉強のパフォーマンスも低下します。仲間と愚痴を言い合うこともできず、一人で溜め込んでしまう人もいます。
考えられる疾患
適応障害
職場、学校などの環境に適応できないストレスが大きくなり、日常生活に支障をきたす心身の症状が現れる病気です。症状としては、憂うつ、不安、焦り・焦燥感、多汗、めまいなどが挙げられます。重症化すると、無断での遅刻・欠席、出社拒否・登校拒否などに至ることもあります。
うつ病
主に精神的・身体的なストレスを原因として、気分の落ち込み、興味・関心の低下、食欲不振・食べ過ぎ、不眠・過眠、不安、イライラ、動作緩慢といった症状が現れます。ただし、原因は職場や学校にあるとは限りません。うつ病でも、出社や登校はかなり難しくなります。
社会不安障害
人前に出たり、喋ったり、会食をしたりといった時に、強い緊張や恐怖を感じます。声や手・足の震え、動悸、冷や汗、赤面、頭が真っ白になるといった症状が見られます。会社や学校での緊張・不安を予期し、出社や登校が困難になります。
依存症
アルコールや薬物に依存すると、常にその依存物質が欲しくなり、仕事・勉強などが大切だと分かっていても、後回しにしてしまいます。また、スマホ・ゲーム・ネットなどへの依存によって夜更かしをして寝坊したり、仕事・勉強などがおろそかになるというケースも見られます。
対処法
心療内科・精神科などを受診し、適切な治療を受けることがもっとも大切です。当院では、適応障害、うつ病、社会不安障害、依存症の治療、支援のご案内なども行っておりますので、安心してご相談ください。
どうしても受診のハードルが高い、受診の前に自分でできることをしてみたいという場合には、以下のような方法をお試しください。
しっかりと休む
ストレスを少しでも緩和するため、しっかりと身体とこころを休ませてください。疾患を原因とする場合、「努力では改善できない状態」です。ただし、不規則な生活にならないように注意し、起床時間や就寝時間、三食の時間はできるだけ一定にしましょう。
好きなことに没頭する
気力や体力に余裕があれば、好きなことに没頭するのもおすすめです。何も考えず没頭することで、気持ちがすっきりすることがあります。ただし、以前好きだったことに興味や関心を抱けない、やる気が出ないといった場合には、うつ病などの病気を疑う必要があります。
環境を変える
原因が環境やそこでのストレスにある場合には、転職、異動、引っ越しなどによって環境を変えるというのも、一つの手です。ただ、引きこもりの方にとって、このような行動・決断は多大なストレスになることもあるため、慎重に判断する必要があります。また、うつ病などの病気である場合には、正常な判断ができないことがあります。正しく判断する力を取り戻すためにも、やはり医療機関での治療が大切です。
信頼できる人に相談する
視野が狭まっていると、良い考えが浮かびません。家族、友人など、信頼できる人に相談して、パッと目の前が明るくなるようなアドバイスをもらえるということもあります。また、自覚していない症状や特徴を指摘してもらったりするのにも役立ちます。悩みを吐露するだけでも、気持ちは楽になります。
ただし、このような対処法について考えるのも辛い、できそうにないといった場合には、できる限り早く当院にご相談ください。
ご家族の方へ
大切なご家族が引きこもりになった時には、他のご家族の方も大変な心配をされるかと思います。
引きこもりになった方は、多くの場合、自分ではどうしようもない状態にあります。責めたり、急かしたりせず、ゆっくりと話を聞いてあげてください。また、「頑張れ」といった励ます言葉が、ご本人にとってはとても辛く感じることがあります。聞いているよ・そばにいるよということを、日々、言葉と態度で示してあげてください。
ご本人がどうしても受診を嫌がるという場合には、ご家族様からのご相談も承ります。また当院では、オンライン診療、訪問診療・訪問看護にも対応しておりますので、お気軽にお問合せください。