- 物忘れとは
- 最近、物忘れがひどい・記憶力の低下を
感じる方へ - 物忘れの考えられる主な原因
- ストレスを感じて、物忘れがひどくなる
ケースはあるのか - 物忘れは病気かどうか
- 物忘れが原因で考えられる疾患
- 認知症と軽度認知障害(MCI)の主な症状
- そもそも認知機能障害かどうか
- 認知機能検査の費用について
- 当院では専門的に『物忘れ外来』を
行っております
物忘れとは
私たちが普段、意識せずに行っている「記憶」は、「情報を覚えること・情報を保存しておくこと・情報を思い出すこと」で構成されています。
「物忘れ」とは、このうちの「情報を思い出すこと」ができない状態を指します。もちろん、私たちは起こったすべてのことを記憶できるわけではありません。物忘れは、年齢や健康状態に関係なく、誰にでも起こり得るものなのです。
しかし、その内容や頻度によっては、認知症や軽度認知障害による、病的な物忘れが疑われます。病的な物忘れの例としては、「朝ごはんに何を食べたか」ではなく「朝ごはんを食べたこと自体」を忘れてしまうケース、日常生活に支障をきたす頻度で物忘れが起こるケースなどが挙げられます。
治療・対応が早期であればあるほど、病状の進行を抑えたり、穏やかな生活を維持できる可能性が高まります。
病的な物忘れが疑われる、物忘れが増えたという場合には、お早目に当院にご相談ください。
最近、物忘れがひどい・
記憶力の低下を感じる方へ
物忘れや記憶力の低下の低下は、誰にでも起こり得るものです。
気になる場合には、まずは以下のような方法によって、物忘れの防止を図りましょう。これらの対策を講じても物忘れが減らない、記憶力が低下している気がするといった場合には、当院にご相談ください。
もちろん、気になった段階ですぐにご相談いただいても構いません。
正しい生活リズムを取り戻す
十分な睡眠・休養をとり、正しい生活リズムを取り戻しましょう。
ストレスの解消
ストレスを溜め込まないこと、上手に発散することが大切です。
食習慣・運動習慣の改善
バランスの良い食事を摂り、適度な運動を習慣化しましょう。
ポリフェノール、EPA・DHAといった抗酸化・抗炎症物質は、認知機能低下の予防という意味でも有効です。
身の回りの整理整頓
デスク回りや部屋の整理整頓をすることで、職場・自宅で快適に過ごせる環境を整えましょう。
メモをとる
小まめにメモをとるだけでも、物忘れを防ぐのに役立ちます。
ToDoリストを作る、リマインドアプリを活用するといった方法も有効です。
物忘れの考えられる主な原因
物忘れの原因には、以下のようにいくつかの種類があります。
加齢に伴う記憶力の低下
記憶力は、20歳代でピークを迎え、その後は徐々に衰えます。
認知症による物忘れとは異なり、そのできごと、物事そのものを忘れるのではなく、内容の一部を忘れてしまうという特徴があります。
過労・寝不足・ストレス・
栄養バランスの乱れ
過労、寝不足、ストレス、栄養バランスの乱れは、いずれも集中力の低下、物忘れの増加を招きます。
認知症による物忘れとは異なり、身体を休めたり、ストレスを解消したり、食事を改善することで、症状も回復します。
認知症などの疾患
物忘れの原因となる代表的な疾患としては、認知症や軽度認知障害が挙げられます。
また、睡眠障害、うつ病、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫などを原因として、物忘れがひどくなることがあります。
物忘れの症状を進行させない、改善するためには、これらの疾患に対する治療が必要になります。
薬の副作用
抗うつ薬、、睡眠薬などの一部の薬の副作用として、物忘れの増加が見られることがあります。
ストレスを感じて、物忘れが
ひどくなるケースはあるのか
先述の通り、過度なストレスは物忘れの増加の原因の1つとなります。コルチゾールの過剰な分泌、脳疲労、脳の働きの低下などが、物忘れの増加につながるものと考えられています。
ストレスが原因と思われる物忘れの増加があった時には、身体とこころを十分に休ませ、改善を図りましょう。
またストレスは、睡眠障害やうつ病、その他さまざまな疾患の原因にもなるため、これらの病気の予防という意味でも、ストレスを溜めないこと、うまく解消することが大切になります。
物忘れは病気かどうか
物忘れ自体は、病気ではありません。
しかし、認知症・軽度認知障害、睡眠障害、うつ病、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症などの病気の症状として、物忘れの増加が見られることがあります。
脳のCT検査・MRI検査などの精密検査が必要と判断した場合には、速やかに連携医療機関をご紹介いたします。
物忘れが原因で考えられる疾患
軽度認知障害(MCI)
後述するアルツハイマー型認知症になる一歩手前の段階を指します。
記憶力や思考力といった認知機能が低下しているものの、日常生活には支障をきたしていません。放置していると高確率で認知症へと進行しますが、軽度認知障害の段階で治療・対応ができれば、進行を防ぐ・発症を遅らせるということが可能です。
認知症
認知症とは、記憶力・思考力といった認知機能の低下によって、日常生活に支障が出る病気です。
もっとも多いのが、アルツハイマー病を原因とするアルツハイマー型認知症であり、これが認知症全体の約60%を閉めます。その他、レビー小体型認知症や血管性認知症などがあります。
物忘れ、感情の欠如、興味・関心の低下、幻覚、性格の変化など、さまざまな症状が見られます。
睡眠障害(不眠症)
睡眠障害のうち、もっとも多いのが不眠症です。睡眠時間が足りていなかったり、睡眠の質が悪かったりすると、脳や身体が十分に回復しません。日中には、眠気はもちろん、頭が回らず物忘れが増える、疲れが残っているなどの症状が現れます。
うつ病
ストレスを原因として発症する、気分障害の1つです。気分の落ち込み、興味・関心の低下、不眠/過眠といった症状に加えて、考えがまとまらない、記憶力の低下、喋る・動くのが遅い等の症状も見られます。
認知症と軽度認知障害(MCI)の主な症状
認知症および軽度認知障害の主な症状をご紹介します。
認知機能の低下に伴う「中核症状」、そして中核症状によって引き起こされる「周辺症状」に分けられます。
中核症状
- もの忘れの増加
- 新たに覚えるということが難しい(一方で、昔のことは覚えている)
- 少し前にした会話や約束を忘れている、会話をした・約束したこと自体を忘れている
- 忘れていることを指摘しても、思い出せない
- 現在の年や月、日、曜日、季節、時刻などが分からない
- 自分がいる場所、よく知っているはずの道などが分からない
- 物事を理解することができない、難しい
- 計画を立てること、効率良く実行することができない
- 文章や発言などの内容の理解ができない、難しい
- 自分の気持ちを言葉にして伝えることが難しい
- 料理などの家事、仕事など慣れているはずのことができなくなる
周辺症状
- 気分の落ち込み、意欲の低下
- 以前まで好きだったこと・物への興味・関心の低下
- 話しかけられても反応が薄い
- 過食、小食
- 慣れた場所で道に迷う、徘徊
- 見えないはずのものが見える
- 睡眠障害
- 物が盗まれた等の妄想
- イライラ、暴言・暴力が増える
- 異物を食べてしまう
- 失禁
- 弄便(便をいじる)
そもそも認知機能障害かどうか
主な検査方法
スクリーニング検査として、HDS-R、Mini-Cog、MoCA、DASC-21、MMSE、ABC-DSなど、さまざまな認知機能検査があります。
患者様お一人おひとりにあった認知機能検査を選択し、実施します。
その他、血液検査、脳のCT検査・MRI検査が必要になることもあります。CT検査・MRI検査などが必要になった場合には、速やかに連携医療機関をご紹介します。
主な診断方法
DSM-5などの診断基準をもとに、診断します。ICD-10、NIA-AAといった診断基準を用いることがあります。
診断基準に該当し、日常生活に支障が出ている場合には認知症、基本的な自立ができている場合には軽度認知障害と考えます。
確定診断のためには、うつ病、二次性の脳機能低下などを除外する必要があります。
認知機能検査の費用について
認知症のスクリーニングや判断力・記憶力などの認知機能を調べる検査です。
主に高齢者の方や物忘れが気になる方を対象に実施しております。
費用 | |
長谷川式認知症スケール(HDS-R) | 900円 |
---|---|
MMSE(Mini-Mental State Examination) | 900円 |
注意事項
- 検査はすべて予約制です。
- 医師の診察後に、必要と判断された場合に実施いたします。
- 費用は保険診療(3割負担)を基準としております。
当院では専門的に
『物忘れ外来』を
行っております
物忘れは、健康な人でも起こります。認知症・軽度認知障害によって起こる物忘れは、「ヒントをもらっても思い出せない」などの特徴がありますが、患者様ご本人・ご家族の方からするとなかなか判断に迷うところです。
はっきりとした認知症の症状が見られる場合はもちろんですが、「どっちだろう」と迷った時にも、ぜひ当院の物忘れ外来にご相談ください。