人混み・乗り物が苦手な方へ
「気分が悪くなるから、人混み・乗り物が苦手」という方は少なくありません。
ただ、仕事やプライベートにおいて、人混み・乗り物を完全に避けるというのは困難です。また、パニック障害、広場恐怖症などが原因となっている場合には、心療内科や精神科での治療も必要になります。
すでに人混みに近づけない・乗れないといった問題が生じている方、可能だけれど辛さを感じているという方は、一度当院にご相談ください。
具体的な状況・症状
状況
- 電車、バス
- 車
- 飛行機、船
- エレベーター
- 映画館、劇場
- 美容院、理容院
- 人混み、行列
- 高速道路、渋滞
- 市街地、駅前
- 商店街、アーケード街
- 駐車場、市場、橋
症状
- 吐き気、嘔吐
- 多汗
- 動悸
- 頭痛
- 声、手足の震え
- 息苦しさ、呼吸困難
- 不安、緊張、恐怖
- めまい、ふらつき
- 耳鳴り
- 赤面
- 胃痛
- 腹痛、下痢
- フラッシュバック
- ふわふわする、自分が自分でない感じ
- まぶたの痙攣
人混みや乗り物などが
苦手な原因
人から発せられる熱、湿気、におい
狭い空間に人がたくさんいると、その人たちから発せられる熱や湿気は相当のものです。最近は乗り物の換気が良くなっていますが、その空間の人の熱や湿気、あるいはにおい(口臭・体臭・香水など)で気分が悪くなるということがあります。
乗り物の中が暑すぎる・
温度差
特に寒い季節など、コートを着込んで満員電車に乗ると、汗をかきます。乗り物によっては空いていても暑すぎるということがあり、そういった場合にはやはり気分が悪くなる等の症状が出やすくなります。
パーソナルスペースが
守られない
人にはそれぞれパーソナルスペースがあります。人混み、混雑した乗り物の中では、そのパーソナルスペースを守ることができず、特に長時間になると強いストレスを感じることがあります。
閉鎖性
電車、バス、飛行機などに乗ると、一定時間、出入口がふさがれます。近年はエアコンがよく効いており、電車・バスでも窓はほとんど閉め切っています。こういった閉鎖性によって、息苦しさ、気持ち悪さ、不安などを感じてしまう人もいます。
人混みや乗り物が苦手な方の
考えられる疾患
パニック障害(不安障害)
不安に過度に敏感になり、実際には危険・危機とはいえないものに対して強く不安を感じ、またその不安を解消するために行き過ぎた行動をとる障害を、不安障害と言います。そのうち、パニック障害では、突然の強い不安・動悸・めまい・呼吸困難などの症状が見られます。このような発作(パニック発作)を予期し、電車・バス・飛行機・エレベーターなどの閉鎖された空間に入ることができなくなる、回避するようになるケースが見られます。
広場恐怖症
逃げること、助けを得ることが難しいと思われる場所に、強い不安、恐怖を抱く病気です。吐き気、めまい、腹痛、下痢などの症状を伴うこともあります。またその症状を経験することで、そういった場所を避けようとする傾向があります。
急性ストレス障害・
心的外傷後ストレス障害
どちらも、過去の事件や事故などに自分が巻き込まれた、あるいは目撃したことで強いストレスを感じ、その後フラッシュバックなどの症状が繰り返される障害です。フラッシュバックなどの症状は辛い経験をした場所、似たような場所で起こりやすいため、その場所を回避する傾向があります。
対処法
すでに日常生活に支障をきたしている場合には、当院にご相談ください。各疾患に応じた薬物療法、精神療法などを行います。広場恐怖症に対しては、基本的にパニック障害と同じ治療を行います。
症状が軽く、こころに余裕があれば、以下のような方法によって、症状の改善にチャレンジしてみるのも一手です。難しいと感じた場合には、無理をせずお気軽にご相談ください。
イメトレをする
座りながら、あるいは横になって、目を閉じて人混みや乗り物の中にいる自分を想像します。その際、楽しんでいる自分、リラックスしている自分を想像することが大切です。
「人混みや乗り物=辛い・苦しい」という認知を解消し、症状を現れにくくします。
ストレスを解消する
ストレスを抱えた状態で人混みに入ったり、乗り物に乗ったりすると、敏感になっているこころ・身体の症状が強く現れます。日ごろからストレスを解消しておくことが大切です。
友人・家族と一緒に
行ってみる・乗ってみる
実際に人混みの中に入る、乗り物に乗るという方法です。ただ、段階的に挑戦するようにしてください。たとえば電車であれば、駅に行く・ホームでしばらく立つ(電車を見送る)・ガラガラの車両に1駅分だけ乗る、といった具合です。慣れてきたなら、一人でチャレンジするのも良いでしょう。