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強迫性障害(強迫神経症)

強迫性障害(強迫神経症)とは

強迫性障害(強迫神経症)とは強迫性障害とは、過度な不安によって日常生活に支障をきたす「不安障害」の一種です。
ある1つのネガティブな考えが頭に浮かぶと、その考えを打ち消したい(安心したい)気持ちが強くなり、実際に行動に移してしまうことを繰り返します。
例としては、「自宅を出てから、ガスを止めたか/鍵を閉めたか/家電の電源を切ったか等が気になり、何度も帰宅する」といったものが挙げられます。自分でも異常だとは感じながらも、その考え(強迫観念)を持つこと、行動(強迫行為)することをやめられません。
仕事や約束への遅刻を繰り返すことで、人間関係に支障をきたします。

強迫性障害(強迫神経症)の
主な特徴

「不安や心配を抱く」「念のためにと確認する・調べる」といった考え・行動は、誰にでも見られます。
しかし強迫性障害では、その考えや行動が過剰であり、日常生活に支障をきたします。

  • 気にし過ぎであること、行動に移すことは問題であることを、自分でもわかっている
  • 考えまい・行動してはいけないと理解していても、毎回のように不安に襲われ、行動に移してしまう
  • 遅刻をしたり、約束を破ったりといったことに申し訳ないと思いながらも、繰り返してしまう
  • まわりから奇異の目を向けられても、繰り返してしまう

強迫性障害(強迫神経症)の
主な原因

強迫性障害を含め、不安障害の原因については、未だはっきりとしたことが分かっていません。
強迫性障害においては、現在のところ以下のような要因の影響が指摘されています。

気質

真面目・神経質・完璧主義といった性格、家庭・学校で育まれた観念などがこれに該当します。

環境的ストレス

過去の天災・災害、虐待を受けた経験、感情・行動を強く否定されたことで生じたトラウマが、強迫性障害のリスクを高めると言われています。

遺伝

神経伝達物質であるセロトニンの量、脳の機能異常などの遺伝は、強迫性障害のなりやすさに一定程度の影響を与えると言われています。

強迫性障害(強迫神経症)の
主な症状

典型的な症状として、以下のようなものが挙げられます。

繰り返しの確認行為

ガスの止め忘れ・鍵の閉め忘れ・家電の電源の切り忘れなどが気になり、外出後に何度も帰宅して確認します。またその際には、指差し・声を出す・手で触るなどして厳重に確認します。
仕事や約束に遅刻することを繰り返し、会社・友人からの信用を失ってしまうケースも少なくありません。

不潔への恐怖・繰り返しの
洗浄

手、服などが汚れているという恐怖があり、延々と・何度も洗ってしまいます。シャワーや入浴を1日に何度も繰り返すというケースも見られます。

犯罪・加害への恐怖

「自分が犯罪をした・誰かに危害を加えた」と根拠なく思い込み、テレビや新聞でニュースになっていないかを確認します。まわりの人、警察などに確認をするというケースも見られます。

儀式的行為

仕事、家事、勉強などにおいて、自らが決めたルール・手順で進めることに異常にこだわります。ルール・手順通りにいかない場合には、漠然としたおそろしいことが起こるのではないかという気持ちになります。

数字・物の配置や対称性の
こだわり

ラッキーナンバー、不吉な数字、家具や机の上の物の左右対称性などに、縁起を担ぐ・整理整頓といったレベルを超えてこだわります。数字が良くない、左右対称でない場合に、強い不安を覚えます。

強迫性障害(強迫神経症)の
診断

日本では、原則として世界保健機関(WHO)が作成した診断基準である「ICD」をもとに診断します。
その他、アメリカ精神医学学会が作成した診断基準である「DSM」を用いて診断することもあります。

ICD-10

強迫観念と強迫行為のどちらか片方、または両方が2週間以上続いており、毎日のように苦痛を感じている・生活に支障をきたしている場合に、強迫性障害と診断します。

DSM-5

咳払いや頻繁なまばたき、首の運動といったチック症状があり、なおかつ強迫観念・強迫行為が繰り返される場合に強迫性障害と診断します。

強迫性障害(強迫神経症)の
治し方

薬物療法

薬物療法主に抗うつ薬を使用します。
抗うつ薬にはさまざまな種類がありますが、強迫性障害に対しては副作用の少ないSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を使用するのが基本です。
早い方だと、2~3週間ほどで効果が現れ始めますが、自己判断での内服中止・減薬はお控えください。

認知行動療法

認知行動療法のうち、「曝露反応妨害法」が有効になります。
強迫性障害によって回避したいと感じる状況や行動(手洗いを1回で終わらせる・鍵の閉め忘れを確認するために帰宅しない・物を左右非対称に置く等)に敢えて直面し、強迫行為を我慢します。
最初は不安や辛さがありますが、手洗いが1回でも問題ない・鍵をちゃんと閉めていた・左右非対称でも困らないといった正しい認知を獲得することで、少しずつ症状が改善していくことが期待できます。