- もしかして産後うつ?子育て・育児の
ワンオペが不安・ストレスを感じている方へ - 「産後うつ」とは
- 産後うつの原因
- 産後うつの症状チェック
- 産後うつなりやすい人の特徴
- 産後うつはいつまで続く?
- 産後うつの乗り越え方
- 産後うつになった場合の治療法
もしかして産後うつ?子育て・育児のワンオペが不安・
ストレスを感じている方へ
産後は、喜びと期待がある一方で、育児・子どもの健康・経済的な負担と、さまざまな心配事であふれる時期でもあります。また今もなお、やはり男性よりも女性の方が、育児の身体的・精神的な負担が大きくなります。産後うつかも?と感じたり、ご家族から指摘された時には、お気軽に当院にご相談ください。
産後うつとマタニティーブルーの違い
マタニティ―ブルーは、妊娠中や出産後3~10日くらいに生じる「一過性の情緒不安定な状態」です。出産した女性の約3割が経験しており、ほとんどが自然に消失します。
一方の産後うつでは、出産後、数週間~数ヶ月以内に、うつ状態が見られます。マタニティーブルーより症状が重く、なかなか自然には消失しません。日常生活に支障をきたし、最悪の場合には、自傷行為・自死に至ることもあります。
「産後うつ」とは
産後うつでは、出産を終えた女性が、出産後数週間~数ヶ月以内に、気分の落ち込み、不安、急に悲しくなる等の症状に見舞われ、その状態が2週間以上続きます。出産した女性の10~15%に見られる比較的身近なものですが、適切な治療を行わないでいると、症状が悪化します。
過去にうつ病になったことがある方は、そうでない方よりも産後うつのリスクが高くなると言われています。ご自身のため、お子様・ご家族のため、産後うつかもと少しでも感じたら、当院にご相談ください。
産後うつの原因
産後うつの原因は、多くの場合、1つではありません。以下のような原因が、複雑に絡みあって発症します。
- 出産に伴う、女性ホルモンの急激な減少
- これからの育児、子どもの健康、経済的な負担への不安
- 育児に伴う疲労、寝不足
- 出産で負担のかかった自分の身体への不安
- 家族の理解、サポートの不足
- 夜泣きなどのストレス
- とりまく環境の変化に伴うストレス(里帰り出産、親戚・友人の訪問がストレスになることも)
- 育児や教育に関する両親・義両親などの過度の介入に伴うストレス
- うつ病の既往歴
産後うつの症状チェック
産後うつでは、以下のような症状が、2週間以上続きます。

- 激しい気分の落ち込み
- 楽しいはず、うれしいはずのことを喜べない
- 子どもをかわいいと思えない
- 育児、家事のやる気が出ない
- 自分にちゃんと育てられるわけがないと思う
- イライラ、家族にあたってしまう
- 小さな失敗で、母親失格だと考えてしまう
- 突然悲しくなり、涙があふれる
- 寝つきが悪い、夜中に目が覚める
- 乳児健診などで異常なしと言われても、不安が尽きない
- 食欲不振、食べ過ぎ
- 消えてしまいたいような気持になる
産後うつなりやすい人の特徴
産後うつのなりやすさは、その人の性格、環境などが影響すると言われています。
以下に該当する方は、そうでない人と比べると、産後うつの可能性が高くなると言えます。
- 完璧主義の人
- 真面目、責任感が強い人
- 夫など家族に頼れない人
- 家族関係が良くなく、理解・必要なサポートが受けられない人
- 親しい友人も妊娠中や育児中で、気軽に相談できる知り合いがいない人
- ネグレクトや虐待など、不適切な養育体験がある人
- 生活習慣が乱れている人
- 経済的に不安定な人
産後うつはいつまで続く?
産後うつでは、さまざまな症状が2週間以上続きます。
適切な治療を受ければ、多くの場合、2~3ヶ月で改善します。しかし、治療が遅れたり、重度である場合など、1年以上、改善しないというケースも見られます。
産後うつの乗り越え方
もっとも大切なのは、心療内科・精神科で適切な治療を受けることです。
受診の際にも改めてお伝えしますが、以下のような考え方を持つこと、習慣を身につけることも、産後うつを乗り越える(早く治す)ためのポイントとなります。
- 子育てや育児を完璧にしようと思わない、完璧なんて無理だと受け入れる
- 自分が健康でないと赤ちゃんも困ると考え、しっかり休む
- 母乳、手作りの離乳食にこだわり過ぎず、ミルク・市販の離乳食を活用する
- 自分や夫の料理も手作りにこだわらず、出来合いのものを買ったり、出前・宅配を利用したりする
- できる限り規則正しい生活を送り、午前中には日光を浴びる
- 辛くなる前に夫、両親・義両親などに頼る
- 家族の協力を得て、一人の時間をつくる
- 夜泣きがひどい場合など、赤ちゃんと一緒に昼寝をする(自分の昼寝がだらしないと考えない)
産後うつになった場合の治療法
薬物療法
症状に応じて、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬、漢方薬などを処方します。
赤ちゃんに母乳を与えている場合には、そのことに配慮した処方をいたしますので、ご安心ください。安全性の高いお薬を使用しますが、お薬を減らしたい、飲みたくないという場合にも対応します。
精神療法
「こうしなくてはいけない」「こうあるべきだ」という偏った考え方を改め、育児や家事に気楽に取り組めるようサポートします。
生活習慣指導
限られた時間の中で、心身を休めるための方法を一緒に考えます。旦那様をはじめとするご家族のサポートも大切です。
その上で、規則正しい生活、食事、睡眠、運動などの生活習慣指導を行います。